
「最近、口の臭いが気になってきた」「歯に茶色い付着物がある」と愛犬のお口周りに異変を感じたことはありませんか?それは歯石が原因かもしれません。
犬も歯磨きをしなければ歯石が付着し、そのまま放っておくと歯周病になる可能性があります。犬の歯周病は万病の元。予防のために、できるだけ毎日歯磨きをすることをおすすめします。
とはいえ、初めからスムーズに歯磨きをさせてくれる犬はいません。いきなり歯磨きをすると、犬は「嫌なことをされた!」とマイナスイメージを持ってしまい、歯磨きをさせてくれなくなります。
そこで受け入れてもらうための具体的な方法を「歯磨きに慣れるための5ステップ」にまとめました。また、「犬の歯磨きの仕方がわからない」「うまくできるか不安」という方に向けて、犬の歯磨きのコツや注意点、初めてでも使いやすいおすすめの歯磨きアイテムをご紹介しています。
わが家の1歳6カ月になる愛犬も毎日歯磨きを頑張っています。そのなかで気づいたことや体験談も併せてお伝えさせていただきますので、ぜひ参考にしてみてください。
▼おすすめの歯磨きアイテムはこちら

【歯ブラシ】
ライオン/ベッツドクタースペック デンタルブラシ ラウンド毛タイプ 犬猫用

【歯磨き粉】
ビルバック/C.E.T.歯みがきペースト

【歯磨きシート】
ライオン/ PETKISS 歯みがきシート 無香料
犬にも歯磨きは必要
人間と同じように犬にも歯磨きは必要です。歯磨きをしないと歯周病になるリスクが高まり、それが原因で別の病気を引き起こす可能性も出てくるからです。
習慣化できるよう、歯磨きはできるだけ毎日行うことをおすすめします。
歯磨きをしないと歯周病になる
ドッグフードは食べやすいように加工されているため、「食べかすが歯に残りやすい」ことをご存じですか?
柔らかいウェットフードはもちろん、乾燥したドライフードも噛み砕くと歯の隙間に挟まりやすくなります。
唾液の自浄作用だけで取りきれなかった食べかすは、細菌が繁殖するための栄養分となり、それが歯に付着して歯垢になります。
細菌の塊である歯垢を放置すると歯茎が炎症を起こし、さらに蓄積することで歯周病になってしまうのです。
また、歯垢は石灰化すると茶色くなって歯にこびりつきます。これが歯石です。この歯石がさらに細菌を増殖させ、歯周病を悪化させるのです。
犬の口腔内はアルカリ性のため虫歯にはなりにくいのですが、歯石ができやすいという特徴があります。米国獣医歯科学会の研究によると「3歳以上の犬の約80%は歯周病になっている」ことがわかりました。
実際、日本のペット保険販売会社が行った歯科検診の結果でも、同様の傾向が見られました(図1)。「3歳以上の犬のうち、80%以上に歯垢の沈着や歯石が確認された“歯周病予備軍”」であることが明らかになったのです。

図1
(出典:アニコム損害保険株式会社の歯科検診結果)
歯周病は別の病気を引き起こす可能性がある
犬の歯周病は万病の元と言われています。進行すると副鼻腔炎になったり、歯を支える骨が溶けてあごが骨折したり、さまざまなトラブルを引き起こすことがあります。
また、口腔内のトラブルだけではありません。歯周病菌が歯茎から血管に入り、血流に乗って全身に運ばれると、心臓病や肝疾患、腎疾患など内臓疾患の原因になる可能性もあるのです。
アニコム損害保険株式会社の研究によると、健康な犬に比べて歯周病の犬は翌年の傷病発症率が1.4倍になることがわかりました(図2)。内臓疾患でみると、心臓病では1.7倍、腎臓病では3.5倍という結果が出ています。
歯周病を放っておくと大変なことになってしまいます。


図2
(出典:アニコム損害保険株式会社)
歯磨きは毎日することが理想
歯垢は歯磨きをすれば取り除けますが、歯石になると歯磨きだけで除去することはできません。
犬の場合、歯垢が石灰化するのに3〜5日かかると言われています。これは人間の約5倍もの早さなのです。
歯石になるのを防ぐには、歯垢の段階で汚れを落としておく必要があります。
そのためにも歯磨きは毎日行うのが理想。磨き残しがあったとしても、毎日行えば歯垢の除去率を上げることができるからです。
とはいえ、大事なのは無理なく継続すること。最低でも週に2〜3回はしっかり歯磨きすることをおすすめします。

筆者も初めは愛犬の歯磨きに消極的でした。とくに乳歯は永久歯に生え変わるので、子犬から行う必要性を感じていなかったのです。
そんな考えを改めてくれたのが、動物看護師として20年以上動物病院に勤めている妹でした。
歯周病の怖さを教えてもらったことで、歯磨きの必要性を強く感じ、生後4カ月目から歯磨きを開始することに。
正直、飼い主側もサボりたくなる日もあります。手間はかかるし、犬は嫌がるし、他にやることもたくさんある。
でもこの1回を怠ることで「なし崩し的にやらない日が増えるのでは?」という懸念があったので、頑張って継続しました。
何より、かわいい愛犬にはいつまでも元気で暮らしてほしい。その思いで1歳6カ月になる今日までほぼ毎日歯磨きをしています。
飼い主側にも根気強さが求められますが、できない日もあっていいと思います。その日は何もしないのではなく、あとでご紹介する代用グッズなどを使ってみてください。
犬の歯磨きは子犬の時期から
犬の歯磨きは子犬の時期から始めるのがベストですが、成犬になってからでも遅くはありません。成長に応じたケアを行い、歯磨きを習慣化させていくことが必要です。
子犬のうちからゆっくり慣らしていく

歯磨きは子犬のうちから慣れさせると、習慣化しやすくなります。個体差はありますが、歯が抜け変わり始める4カ月頃から開始するのがおすすめ。
乳歯のうちはしっかり歯磨きをすることが目的ではありません。犬は口元や口の中に触れられるのを嫌うため、スキンシップの延長として慣れてもらうことが目的です。歯並びや抜け変わりもチェックしながら、気長に続けてください。
成犬になってから始めても遅くはない
歯磨きは成犬になってから始めても遅くありません。歯石がすでに付いている場合も、これ以上悪化させないことが必要です。まずは動物病院で歯周病チェックをしてもらいましょう。
成犬の場合、これまで歯磨き経験のないぶん抵抗感が強く出ます。無理強いせず、時間をかけて慣れさせることが求められます。
犬の歯磨きにおすすめアイテム
犬の歯磨きに必要なものは、犬用の歯ブラシ・歯磨き粉です。
慣れるまでは指に巻きつけて歯の汚れを拭き取る「歯磨きシート」も便利なアイテム。また、歯磨き後に与えるご褒美も用意しておくとベストです。
アイテムの選び方やおすすめの商品をご紹介させていただきますので、参考にしてみてください。
犬用の歯磨き粉・歯ブラシを選ぶ
愛犬と飼い主さんがスムーズかつ安全に歯磨きを行えるよう、歯磨き粉・歯ブラシは犬用を選んでください。
歯ブラシは成長段階や歯の状態に応じたものが市販されています。体格や使いやすさなど、いろいろ試して愛犬に合うものを選んでみてください。
1.歯ブラシ
人間の子ども用でも代用できる場合もありますが、とくに小型犬など小さい犬の場合、サイズが合わないことがあります。犬用はヘッドが小さいので口の奥まで届きやすく、磨き残しや歯ブラシが口に入ったときの不快感を軽減することができます。
参考までに、わが家の小学生の子どもが使用している歯ブラシと、犬用歯ブラシの大きさを比較してみました。

(左:人間の子ども用/右:犬用)
子ども用でも代用できそうに思えますが、実際に比べてみると犬用はヘッドがかなり小さいことがわかります。

【歯ブラシ】
ライオン/ベッツドクタースペック デンタルブラシ ラウンド毛タイプ 犬猫用
わが家の場合、慣らし時期は360度ブラシの生えたものや、指サックタイプのものから試してみました。
どちらも犬と飼い主の双方が慣れるためには良いと思います。使用してみた感想は、以下のとおりです。
- 360度歯ブラシ


良い点 | 必ずブラシが歯に当たるので、歯ブラシの向きや角度を気にしなくて良い。 |
残念な点 | ヘッドが若干大きくなるので、奥歯や隙間が磨きにくい。 |

【360°歯ブラシ】ビバテック/シグワン
- 子犬・超小型犬向け
- 小型犬向け
- 中型・大型犬向け
- 指サックタイプ

良い点 | 磨く感覚を飼い主がつかみやすい。 |
残念な点 | ブラシの角度や向きを変えにくい。 |

【指サック歯ブラシ】
ライオン/PETKISS指サック歯ブラシ
最終的には一般的な犬用歯ブラシが奥までよく届き、柄を持って角度を変えられるので、一番使いやすいと感じました。
2.歯磨き粉
歯磨き粉は必ず犬用を使用してください。人間の歯磨き粉にはキシリトールが配合されているものが多く、中毒症状を起こす可能性があり危険です。ほかにも研磨剤など犬に不要な成分が入っていますので、必ず犬用を使用してください。
わが家ではチキンフレーバーの付いた下記のものを使用しています。他にもバニラミント、シーフード、モルト(大麦モルトシロップの甘味)なども。
チキンフレーバーは「犬・猫が好む」とメーカーで紹介されているだけあって、わが家の愛犬もおいしい匂いにつられて喜んで近づいてきてくれます。
他のメーカーからもフレーバー付きは発売されていますので、いろいろ試してみてください。

【歯磨き粉】
ビルバック/C.E.T.歯みがきペースト
慣れるまでは歯磨きシートを使う

(出典:ライオンペット株式会社より)
「いきなり歯ブラシはハードルが高い」「うまくいかなかった」という方は、歯磨きシートからスタートさせてください。
指にシートを巻きつけて歯の汚れを拭き取るものです。隙間汚れは取れませんが、歯磨き経験がない場合や、嫌がる場合に便利なアイテムです。

【歯磨きシート】
ライオン/ PETKISS 歯みがきシート 無香料
ご褒美も準備しておく
犬にとって歯磨きは楽しいことではありません。「嫌なことをされた」という印象をもたれると練習自体が進まなくなってしまいます。終了後にはたくさん褒めてあげてください。また頑張ったご褒美として、随時おやつを与えるのも効果的です。
歯磨きに慣れていないうちは、普通のおやつで構いません。小さめのものを用意して、その都度与えてください。
当初、筆者は「せっかく歯磨きをしたのに」という思いから、おやつを与えませんでした。そのせいもあって、初めはかなり苦戦することに。
しかし、このときのおやつは「間食」ではなく「ご褒美」です。楽しい時間を演出することが、慣れることへの近道。1日に与える量を守りながら、上手に活用しましょう。
わが家でも、小さくちぎれる歯磨きガムをおやつとして与えるようになってから、歯磨きをしやすくなりました。
今はずいぶん慣れてきたので、その都度ではなく終了後にそのまま1本与えています。そのほうが仕上げ磨きとして、歯磨き効果を上げることができるからです。
愛犬の様子を見ながら、普通のおやつから歯磨きガムへ。慣れてきたら都度のご褒美を減らして、仕上げ用として最後に歯磨きガムを与えるよう移行していくのがおすすめです。
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【歯みがきガム(ご褒美として複数回に分けてあげる場合)】
ライオン/PETKISS食後の歯みがきガム
- 子犬向け
- 小型犬向け
- 中型犬〜
犬が歯磨きに慣れるための5ステップ
必要なアイテムが準備できたら、いきなり歯磨きをするのではなく、まずは歯磨きを受け入れてもらうための練習から始めます。
そもそも歯磨きが好きな犬はほとんどいません。筆者の妹は動物看護師として20年以上勤めていますが、「犬には歯磨きという概念がない。口元を触られること自体が嫌だし、怖いことをされると思ってしまう」と言います。
だからこそ、歯磨きが嫌いにならないよう、慣れてもらうためのステップが大切になるのです。
そこで受け入れてもらうための具体的な方法を「5つのステップ」でご紹介させていただきます。
本格的な歯磨きに移行できるよう、愛犬の様子を見ながらゆっくり進めてください。
ステップ1 | 口元に触れることに慣れさせる |
ステップ2 | 口の中に触れることに慣れさせる |
ステップ3 | 歯磨きシートで歯を拭いてみる |
ステップ4 | 歯ブラシが触れることに慣れさせる |
ステップ5 | 少しずつ歯磨き範囲を広げていく |
ステップ1:口元に触れることに慣れさせる
犬は口元に触れられるのを嫌がるので、まずは口やマズル(口のまわりから鼻先にかけての部分)に触れるところから。
急に触れたりつかんでしまうと犬は驚いてしまいます。顔や頭をなでる延長で遊びながら触ってみてください。おやつをあげながら、楽しいイメージがわくようにしてあげると警戒心は薄れていきます。

参考:マズル(赤枠の部分)
ステップ2:口の中に触れることに慣れさせる
口元に慣れてきたら、今度は口の中に指を入れたり、歯や歯茎に触れたりしてみます。
このとき嫌がるようなら、無理をせずステップ1に戻ってしばらく様子をみてみましょう。力を入れすぎたり、強く固定すると犬は身構えてしまうので、あくまでも遊びの延長で。
触らせてくれたらその都度ご褒美をあげて、楽しいイメージを残してあげてください。
ステップ3:歯磨きシートで歯を拭いてみる
初めて歯磨きをする場合は、いきなり歯ブラシを使うのではなく、歯磨きシートで汚れを拭き取るところから始めます。
一度に全部拭こうとせず、やりやすい歯から始めて少しずつ範囲を広げていきましょう。
一生懸命になりすぎて力が入りすぎたり、「全部拭かないと!」と無理をすると犬は「やっぱり嫌なことをされた!」と思ってしまいます。力を抜いて、優しく、少しずつ行ってください。
「ご飯のあとに毎回少しだけシートを歯にあてる」から始めるなど、「慣れる」を意識して進めるのもおすすめ。ハードルを下げることで、愛犬への負担は少なくなります。
ここでも褒めることと、ご褒美を忘れずに。
▼歯磨きシートの使い方【動画】
ステップ4:歯ブラシが触れることに慣れさせる
歯磨きシートに慣れてきたら、歯ブラシを口に入れてみます。ここですぐに磨こうとせず、まずはシートで拭いたときに抵抗の少なかった歯にブラシをあててみる。慣れてきたら、当てたブラシを少し動かしてみる。という具合に一歩ずつ進めてください。
歯ブラシ自体に抵抗感を示す場合もあります。まずは匂いをかがせたり、口に触れさせたりして「怖くない」ことを教えてあげると安心してくれます。
ステップ5:少しずつ歯磨き範囲を広げていく
初めから全ての歯を磨くのは難しいので、少しずつ歯磨き範囲を広げていきます。できなかった部分は歯磨きシートで拭き取るなど、他の方法でカバーすれば問題ありません。
歯ブラシが難しい場合は、前述の指サックタイプの歯ブラシや、360度ブラシを使用して慣れていくのもおすすめです。
具体的な方法は次にご説明させていただきます。
実際に犬の歯磨きをするときの3つの手順
歯磨きを受け入れる準備ができたら、次は実際に歯磨きをしていきます。
ここでも無理はさせず、ゆっくり進めていくようにしてください。都度のご褒美を減らしてもできるようになるまで、根気強くです。
手順としては、まずは外側をしっかり磨けるようになること。それができるようになってから、内側に取り組みます。最後に歯磨きガムで仕上げるようにしておくと、磨き残しも減るので安心です。
▼実際の歯みがき方法【動画】
手順1:外側の歯を磨く
歯磨きに時間がかかると犬も嫌になってくるので、一番歯垢がつきやすい奥歯から磨くのがおすすめです。慣れるまではできる歯からでも構いません。
口のふちをめくって持ち上げると、歯の状態が見えて磨きやすくなります。ただし、嫌がるようであれば歯ブラシを口の隙間から入れるだけでも大丈夫です。
力が入ると歯茎を痛めてしまい、嫌がる原因にもなるので、歯ブラシは鉛筆を持つように握りましょう。
奥歯から犬歯、前歯の順にブラシを小刻みに横に揺らしながら磨いていってください。
手順2:内側の歯を磨く
内側を磨くには口を開けたままにしてもらう必要があります。犬に負担がかかるので嫌がられることが多く、難易度は上がります。
内側は、外側に比べて唾液によって歯垢がつきにくくなっているので、外側がうまく磨けるようになってからで構いません。それまで手順2は飛ばして手順3へ進んでも大丈夫です。
磨くときは、外側と同じく奥歯から犬歯、前歯の順に進めてください。
手順3:歯磨きガムをかませる
ご褒美 兼 磨き残し対策として、最後に歯磨きガムを噛ませます。ここでは犬にガムを渡してしまうのではなく、飼い主が手に持って奥歯でしっかり噛ませるように誘導します。時に角度を変えたり、左右どちらの歯でも均等に噛むように動かしてみるなど、様子をみて食べさせてください。
犬の歯磨きで気をつける3つのポイント
犬の歯磨きを毎日行うには根気が必要です。少しでも継続しやすいように、気をつけるポイントは
- 嫌がるときは無理をさせない
- 事前準備とイヤイヤ対策は臨機応変にする
- 歯石チェックや除去は必ず動物病院でしてもらう
の3点です。
嫌がったときの対処法や、筆者が行っている工夫などもお伝えさせていただきます。
1.嫌がるときは無理をさせない
犬には歯磨きの習慣はありませんので、初めは必ず嫌がります。その際に注意したいことは
- 無理強いはせず、数分で終わらせる
- 焦らず少しずつ進める
- 無言にならないようにする
ということ。
初めのうちは「やりたくない」ので顔をそむける、口を開けてくれない、など小さな抵抗は毎回あります。その際は無理に続行しようとせず、休憩やご褒美で気分転換をしながら行ってください。
時間がかかればかかるほど犬は嫌がり出すので、数分で終わらせるようにしましょう。
抵抗が大きくなって飼い主さんから逃れようと暴れ出したときは、押さえつけてはいけません。「今日はここまで」と割り切って、残りは歯磨きシートや歯磨きガムなどでカバーすれば大丈夫です。
一度に全部磨こうとせず、「今日は奥歯」「次は前歯」などブロック分けして少しずつ進めていくのもおすすめです。
また、一生懸命になりすぎるあまり、飼い主さんが無言になってしまうこともよくあります。
愛犬に不安を与えないためにも「上手だねー」「いいこだね」など優しく声をかけるのを忘れないでください。
最後にはたくさん褒めてあげて、愛犬のモチベーションを保つことも忘れずに。
大事なのはできるだけ毎日歯垢を落とす努力をすることです。完璧よりも継続を目指しましょう。
嫌がったり、うまくできないときの対処法
嫌がってなかなか歯磨きができない場合は、ゆっくり慣らしながら他の方法も併用してみてください。歯磨きシートのほかにも、歯磨きガムや普段の飲み水に混ぜるだけの液体歯磨きもあります。

【歯みがきガム(歯磨きの代用として)】
ライオン/ベッツドクタースペック
- 体重2〜5kg
(XSサイズ)
- 体重5〜10kg
(Sサイズ)
- 体重10〜20kg
(Mサイズ)

【液体歯磨き】
ビルバック/C.E.T.®アクアデント®フレッシュ
他にも普段から歯磨き用のデンタルトイ(布のロープでできたおもちゃなど)を使うのもおすすめです。
歯磨きガムやおもちゃを噛むことで唾液がたくさん分泌され、口腔内の浄化にもなります。布製のおもちゃの場合、繊維の間に歯が入って歯垢がとれる効果もあります。使用後は雑菌が繁殖しないよう、洗濯や消毒をこまめに行うようにしてください。

【デンタルトイ①】
他にも柔らかい触感ながらも、丈夫な素材でできたデンタルトイはわが家でも愛用していました。
ベーコンのフレーバーがついていて、パッケージを開けるといい匂いが漂ってきます。暇があればずっと噛んでいて、もう何個目かわからないくらいリピートしました。

【デンタルトイ②】
気をつけたいのがおもちゃの破損です。誤食してしまわないよう、噛んでいるときは必ず見守ってあげてください。
わが家の愛犬は何でも噛んで壊すタイプなので、誤食しないように壊れ始めたらデンタルトイを何度も買い換えました。あくまでもおもちゃなので、安全性と衛生面には注意が必要です。
2.事前準備とイヤイヤ対策は臨機応変に
スムーズに歯磨きを行うためには、
- 口腔内を傷つけないよう、歯ブラシは濡らしておく
- 愛犬がリラックスできる体勢を見つけておく
- ご褒美はすぐにあげられるよう準備しておく
などの事前準備も必要です。
リラックスできる体勢については
- 向き合う
- 背中を飼い主さんの体に預けさせる
- ゴロンと寝転がる
などいろいろなパターンがあります。
何度か試してみて、お互いに無理のない体勢を見つけましょう。

(出典:ライオンペット会社)
事前準備や練習を重ねても、犬にとって歯磨きはできれば「避けたいこと」。昨日までできていたのに「やっぱり嫌!」とへそを曲げることもよくあります。
わが家の1歳6カ月の愛犬も毎日歯磨きをしていますが、途中で体をくねらせて逃れようとしたり、顔を筆者の腕の間に隠して口に触らせないようにしたり、嫌がって抵抗する日もあります。
そんなときも慌てず、愛犬の様子や反応をみて臨機応変に対応する必要があります。
いろいろ試したなかで、筆者が行って効果のあった工夫をいくつかご紹介させていただきます。
歯磨き粉は複数回に分けて付ける
わが家ではチキンフレーバーの付いた歯磨き粉を使っています。磨き初めは大人しくしていますが、味がなくなってくると途端に嫌がり始めます。
そこで、嫌がったら歯磨き粉を追加するようにしました。1回の使用量を複数回に分け、追加したら残りの歯を手早く磨いていくという具合です。おいしい時間を伸ばして気をそらす作戦で、少し歯磨きがしやすくなりました。
奥歯を優先的に磨く
歯石がつきやすいのが奥にある大きな歯です。奥歯は歯垢がたまりやすいのでしっかり磨くためにも、まず初めに行っています。あとはタイムリミットの「嫌がるまで」のできる範囲で。
奥歯だけで終わる日もありますが、「汚れやすいところは磨いたので良し」としています。筆者は「やりやすい歯」より奥歯を優先して磨いています。
眠いときに行う

わが家の愛犬は小型犬ながらも抵抗するときの力は強く、準備しているところを見つけると、そそくさと逃げてしまうときもあります。そこで警戒心の少ない「眠いとき」をねらうことにしました。
ぼんやりとして力が入っていない「眠いとき」はリラックス状態。優しく「上手だねー」「いいこだね」と声をかけながら行うとスムーズにできるようになりました。
ただし眠くなるタイミングはたいてい同じなので、察知するようにもなってきます。このあたりは知恵比べで、愛犬の出方を見ながら筆者も日々工夫するようにしています。
3.歯石チェックや除去は必ず動物病院で

歯磨きを毎日していても少なからず歯石は付着します。放っておくと命に関わる病気になるおそれもありますので、定期的に動物病院でチェックをしてもらうと安心です。
除去の必要性を指摘された場合は、家庭で除去しようとせず、必ず動物病院で適切な処置を受けてください。自己流で行うと口腔内を傷つけてしまったり、家での歯磨きを嫌がる原因になったりもします。
また、歯石は目に見えない歯茎の中にも潜んでいます。見た目だけでなく、歯茎のなかもケアしてくれるのは動物病院だけです。
わが家の愛犬は年に一度ワクチン接種の際に、あわせて歯のチェックもしてもらっています。「今の年齢でこの状態ならOK」と合格点をもらいました。これも毎日の歯磨きの賜物です。
犬の歯磨きについてよくある質問
Q:犬の歯磨きをしている飼い主さんはどのくらいいますか?
ペットメディカルサポート株式会社が、犬の飼い主717名を対象に行った調査によると以下のような結果になりました(図3)。


図3
(出典:ペットメディカルサポート株式会社「愛犬の歯のケア」に関する実態調査)
69%の飼い主さんが歯磨きをしていますが、毎日している飼い主さんは18%と低め。ケアの重要性を感じている方が73%もいるのに、実際に歯磨きを継続的に行っている飼い主さんはまだまだ多くありません。
Q:犬の歯磨きは毎食後したほうがいいですか?
歯石の原因となる歯垢は、食事のたびに生成されます。可能であれば毎食後歯磨きするのが理想ですが、1日1回できれば十分です。
Q:犬の歯磨きはガムだけでも大丈夫ですか?
歯磨きガムはしっかり噛むことで、歯の表面についた歯垢を落とす効果があります。また、唾液をたくさん分泌させることで口腔内の浄化を促しています。
ただ、歯の隙間や全体的に磨くことはできません。歯磨きに慣れないうちや、歯磨きができなかった日などに使用するのは良いですが、あくまでも補助的なアイテムとして使用してください。
Q:本当にきれいに磨けているか心配です。磨くときのコツはありますか?
これは上級者向けになりますが、以下の2点を意識してみるとさらに歯磨き効果は高まります(図4参照)。
- 歯ブラシを歯肉に対して45度の角度になるようにあてて磨く
- 歯と歯のすき間、歯茎と歯のすき間を意識して磨く
この2点を意識すると、歯周ポケットに入り込んだ歯垢をかき出せるので、磨き残しが減ります。

図4
(出典:ライオンペット株式会社)
ただ、これはかなりの上級者向けです。飼い主さんだけでなく、犬側も慣れて協力してくれる必要があるので、急ぐ必要はありません。
まとめ:愛犬の健康のために歯磨きは必要!
犬が歯磨きをしないままでいると歯周病になり、他の重大な病気を引き起こす可能性があります。
愛犬に健康で長生きをしてもらうためにも、少しずつでも良いので毎日歯磨きをしてあげてください。その際に大事なことは、
- なるべく毎日歯磨きをする
歯磨きをしても完璧に歯垢を除去することはできません。磨けなかった部分は歯磨きシートなどを利用し、無理せず「この部分は明日しっかり磨こう」とゆったりした気持ちで取り組んでください。継続することで歯垢の定着を防ぎます。 - 歯ブラシ・歯磨き粉は犬専用のものを使う
安全かつ効果的に歯磨きを行うために、必ず犬用の歯ブラシと歯磨き粉を使用してください。歯ブラシに慣れるまでは歯磨きシートや飲み水に混ぜるだけの液体歯磨き、歯磨きガムなどを併用しましょう。愛犬が続けやすいような工夫をしてあげてください。 - 無理強いせず、ゆっくり慣れさせる
歯磨きを継続させるために、愛犬に嫌なイメージを植え付けないようにすることが重要です。無理強いせず、愛犬の様子を見ながら段階を踏んで、ゆっくりと慣らしてあげてください。
飼い主も犬も、慣れるまで根気が必要ですが、焦らず少しずつ進めていきましょう。
大事な愛犬の健康のためにも、継続できるよう頑張ってください!
▼おすすめ犬用デンタル商品

【歯ブラシ】
ライオン/ベッツドクタースペック デンタルブラシ ラウンド毛タイプ 犬猫用

【歯磨き粉】
ビルバック/C.E.T.歯みがきペースト

【歯磨きシート】
ライオン/ PETKISS 歯みがきシート 無香料